5/14(土)千葉県大六海岸で地引き網 集合

 

いったん車に戻り、足下をスニーカーからおたふくサンダルに履き替えて大量の荷物を砂浜へ運び出す。皿も箸も調味料も炭もブロックも40人分なので何往復もしないと運び終わらないようと泣き言をいっていると、見知らぬ男がこっちに向かってトコトコとやってきた。危険を察知してサッと目をそらしてやり過ごそうとするも、その男は明らかに私に向かって言い放った。「地引き網はここですか」。

え、地引き網。あ、はいはい。地引き網です。私が地引き網です。いや、ちょっと違います。しかしすごいね、本当に見ず知らずの人が地引き網にきているよ。まだ集合時間まで1時間半もあるのにと感心していたら、その人はハートのシールで封された便せんを渡す女子高生のように照れた笑いを浮かべながら(妄想)、「目印にどうぞ」と大漁旗風に「標本丸」と書かれたの紙を差し出してくれた。おお、明らかに本気だ。よし、そっちがその気ならこっちも負けちゃいられない。受け取った「気持ち」をクーラーボックスに張って地引き網の目印にしてやる。

標本丸・・・。

車の中や木の陰から遠巻きに見ていた人達も、男同士の熱く怪しい交流に胸を打たれたのか、「地引き網、地引き網」と口々につぶやきながらパラパラとやってきた。うーん、確か今日参加するメンバーの半分くらいは友人知人のはずなんだけれど、なぜか見知らぬ人達ばっかりが早々に集まってしまったらしい。さすが、見ず知らずの人(私)が主催する地引き網に来る人たちだけのことはある。みんな本気だ。あわあわ。とりあえず、すでに残り少なくなった社交性をありったけ絞り出して、「荷物、この辺に、適当に」とだけ伝えることができた。がんばったよ俺。

さて、ぼちぼち人が集まったので、とりあえず受付でもつくるかなと浜辺でダンボールを組み立てる。で、ダンボールに「地引網受付」と書いた紙切れを貼って、風で飛ばないように「白鶴 まる」を置いたら完成。「地引き網、地引き網」とつぶやく人々を目線の動きだけで集め、地引き網名簿に印を付けながら幸せの黄色いイボイボ付き軍手を渡していく。

受付。

「朝っぱらにはるばる千葉の海まで来て、網を引くという重労働をするためにお金を払う」 人達か。ふう、自分で企画しておいてなんだが、世の中にはマニアックな人達が結構いるもんだなあと受付をしながら感心していると、電車組の到着時間になったらしく、山形から地引き網をするために新幹線に乗ってきた男っぷりと思いっきりの大変いい友人(女性)から携帯に電話が来た。もうすぐ近くまで来ているらしく「旗を振っているの見える〜?」というのでキョロキョロすると、勝山海岸側から「男塾名物!」っぽい真っ黒な団旗を掲げた一団がやってくるではないか。近づいてきたのは間違いなく私の友人達と、私が最近所属した某哲学的非過激派団体の人達だ。そうか、大漁旗を作ったっていっていたから、あれは「団旗」ではなく「大漁旗」なんだな。大漁って書いてあるし。うん、カッコイイ。先輩方、大漁旗ごっちゃんです。わざわざ電車でありがとうございます。やっぱりみんな本気だよ。なんかうれしくなってきた。

電車組からの視線。 大漁(仮)。感動。

ラジオ体操とか始まる。ラジオないけれど。準備運動は大事だ。

ドカドカとまとめてきた電車組の受付をワタワタとしていたら、今度は一台のタクシーがこっちに向かってやってきた。地引き網にタクシーってどんなセレブが降りてくるんだと眺めていたら、中から人魚が降りてきた。いや、上半身が魚だから魚人か。いや、そういうレベルじゃなくて。地引き網ご一行様全員が唖然としていると、その魚人は下が見えないかぶり物のせいで転びそうになりながら真っすぐこっちに向かってくる。う〜ん、あの人の相手をするのかあと一瞬不安になったが、ちゃんと名刺をくれる礼儀正しい魚人だった。っていうか取材の人だった。取材をするのにかぶり物をしなければならない理由は取材される側にはわからない。きっと社則とかあるのだろう。

タクシーか。 名刺もらった。

開始がちょっと遅くなったけれど、九時過ぎには40人以上の紳士淑女がここ大六海水浴場に無事集まってくれた。ドタキャンした人も何人かいたけれど、それ以上に私が把握していなかった人の参加の方が多かったので問題なし。さあ、お待ちかねの地引き網が開始だい。

つづく

そう、やっと次回から地引き網の本編なのです。あわわ。

買い物してして

こういうの好きかな