6/26(土)アナジャコを筆で釣る
6/24(木)
先週末は念願のマグロカブト焼きをやった。さて、今週末はなにをして遊ぼうかしらと、なぜか夏休みモードの脳みそで天気予報などをネットで見ながらダラダラと検討。ううん、土曜日の気温は32度。とりあえずボート釣りは却下。日陰のあるところでのんびりしたいなあということで、いつもの橋の下でテナガ&ウナギ&ハゼでも釣ろうかしらんと決めかけた時、ふと前から漠然とやってみたかった遊びを思い出した。そうだ、干潟でシャコを捕ろう。そうだそうだ、筆でシャコを捕るんだ、前に某人からメールでシャコのいる干潟の場所を教えてもらったんだった、クルマを手放したけれどシャコを捕るんだ、わーいわーいと干潮時間を調べれば、土曜日は午後1時30分頃ととても都合がよろしい。決定。
さて、漠然と「干潟の穴に筆を刺すとシャコが捕れる」という、テレビで見たんだか本で読んだんだかすらろくに覚えていない情報を元に、ネットでさらっと調べて99円ショップで習字用の筆5本と洗濯バサミを購入。ああ、筆を買うという行為をこの年になってするとは思わなんだ。しかもシャコを捕るため。
風流。まあねえ。 |
6/25(金)
ネットのアバウトな情報だけを頼りにいくシャコ捕り。うーん。誰かを巻き込みたいけれど「ねえ、ちょっと干潟まで筆持ってシャコでも捕りにいかない?いや、本当に捕れるかはやったことないからわかんないんだけれどさ〜、ダメ元でシャコ捕り!」と気楽に誘えるような人っていたっけなあ。まあいいや。適当にメールでも出しておこう。
6/26(土)
起床。緑色のリュックサックに筆、洗濯バサミ、ザル、熊手、ハンディー鍬、タオル、シートなどを詰めて、チャリンコのカゴにクーラーボックスを刺したら、Tシャツ、半ズボン、麦わら帽子、水陸両用靴というオシャレルックで立ち漕ぎでゴー。目指すは千葉某所。ああ、何時間かかるのやら。干潮までにはつきたいなと。
延々チャリンコを漕ぐ。暑い。でも漕ぐ。シャコシャコ漕ぐ。
漕ぐ漕ぐ漕ぐ。富士山登山の自主トレだと思って延々漕ぐ。シャコシャコ漕ぐ。
900mlのゲータレードを飲み干した頃、やっとこ目的の干潟に到着。八景島の潮干狩りと全然違う景色だね。空いていて大変よろしいなと。お、なにやら干潟を耕してなにかを捕っているおっちゃん発見。むむ、これは怪しいと近づいてみると、泥の中に筆を20本位突っ込んでいるじゃないですか。これはシャコ捕りに違いないとショッキングピンクのバケツを覗いてショッキング!大量の虫、いやシャコがモゴモゴしているじゃないですか。ニヤリと微笑みかけてくるおっちゃんに微笑み返しながら、「すげえ、本当に捕れるんだ」と一人感動。すごいぞ干潟。
怪しい。 | あ、筆! |
大量ですねえ。本当に捕れるんだ。 |
こうしちゃおれんと適当な場所を3年くらい前にディズニーランド近くで拾ったハンディー鍬で5センチくらい掘り返す。しばらくすると、泥水が澄んできて、びっくりするくらいたくさんの直径3センチほどの穴ぼこが表れる。干潟っていうやつは、ひと泥剥けば穴ぼこだらけらしい。初めて知ったよ。しかし、泥を掘るのってかなりきついっす。農作業用とかの大きい鍬が欲しいわん。自転車で運ぶの嫌だけれど。
ハンディ鍬で適当に掘る。 | ほら、穴だらけ。 |
マイ鍬。お気に入り。 |
よし、じゃあいっちょやってみるかとシャコの潜んでいそうな穴(根拠なし)に筆を深々と差し込む。プシュ。お、どうやら穴は別の穴とつながっているらしく、筆を刺すと違う穴から噴水のように水が噴き出す。プシュ。楽しい。プシュプシュプシュ。設置完了。ええと、あとどうすればいいんだろ。とりあえず熊手で貝でも掘ろうかなと。ああ、ぬかるみに足が埋まっていくよう。うわ、無理に足を抜こうとしたら靴のマジックテープ部分が外れて靴が脱げた。うおう、マジックテープに目の細かい泥が詰まって、全然くっつかなくなっちゃった。干潟、恐るべし。ええい、もう裸足でいいや。牡蠣の殻とかフジツボとか落ちていてとっても危険だけれどまあいいさ。世の中には泥パックとかあるらしいし。ああ、裸足で干潟って気持ちいい。
沈む沈む。干潟ってやつはよう。 | もういい。裸足。 |
役に立たねえ。 |
などと遊んでいる間に、なんか筆が重力に逆らって持ち上がってくる!すげえ!シャコ?ねえシャコなの?
筆を泥に刺す。何事ですかね。 | あ〜〜、筆が〜〜〜。 |
毛の部分まで押し出されてきた筆を見ると、なにやらシャコの爪らしきものがモゴモゴ動いているじゃないですか。いやーん。ええと、どうすればいいんだっけ、ううん、やっぱり素手であの爪を捕まえるんだよな。でもシャコって絶対挟むよな。まあいい、何事も経験だと左手で筆を立てて右手でむんずと毛の部分を掴む。む、手応えあり!おお、なんか指先に甲殻類っぽい物体があるよう。ど、どうしよう。引っ張れば抜けるのかな。ああ、でもシャコを泥穴から引っ張りだすための力加減が分からない。分かってたまるか。力一杯引っ張ったら爪だけもげるよな。ゆっくり、ゆっくり、がんばれ俺、そーっと、そーっと、痛い!イタタタタ!挟まれた〜!あー、シャコの爪がもげたー。悔し〜〜〜い。
そして爪だけ残った。 |
ああ、もう、なんか猛烈に悔しいぞ。爪痕だけ残すなんてなかなかダンディじゃねえか。おっと、また別の筆が持ち上がってきた。でも、また挟まれたら嫌だな。でも、ここで怖がっていてはシャコは食えないしな。ありったけの勇気を振り絞ってえーい、あ、逃げた。むき〜〜。
青空の下、一人干潟で屈辱を味わっていると、近くで先にやっていたおっちゃんが見るに見かねたらしく私の前にやってきて、的確なアドバイスをくれたとさ。なんでも、爪は指と指で掴むのでなく、指と穴の壁面に押し付けて捕まえるのだそうだ。なるほど、理にかなっている。シャコの爪を押さえたらその手は絶対に離さず、空いている方の手で穴を広げてシャコを抜き出すらしい。そうかそうかそうか。なんとなく明るい未来(夕飯)が見えてきた気がする。おっと、また都合良く穴から筆が上がってきやがった。おっちゃんの前で失敗はできないぜ。筆の先に見えるシャコの爪をめがけて、右手の人差し指と中指を突き指を恐れずに差し込んで穴の側面に向けて力を込める。よし、捕まえた!。シャコを右手で押さえたまま、左手で穴を広げながらシャコをまさぐる。痛い!右手が挟まれたよう。でも我慢。うん、子供の頃にザリガニの巣に肩まで手を突っ込んで手づかみで捕まえたときに比べれば挟まれても痛くない。きっとそう。お、左手に脱皮直後のザリガニみたいなプニプニした感触が!。え、シャコってプニプニだっけ。まあいい。泥ごと慎重にシャコを掬いとる。やった〜。シャコが捕れたー。すげーたのしー。おっちゃん、ありがとー。手づかみでシャコー!。ちなみにこいつに挟まれると「ひ弱な皮膚からギリギリ血が出ない程度」に痛い。我慢我慢。この爪で地下2m以上の巣穴を掘って生活しているそうだ。
シャコだシャコだ。 | シャコよシャコよ。 |
あれ、でもなんかちょっと普通のシャコと違うような気がする。おっちゃんに「このシャコはなに?」と目で訴えると、「アナジャコ」との答え。どうやらお寿司とかに出てくるシャコとはちょっと違う種類らしい。塩焼き、塩茹でなどで食べると美味しいそうだ。しかも殻がやわらかいので殻ごと食えるらしい。それは素晴らしい。もっとがんばろう。
ところでお気づきかも知れませんが、干潟ってやつはどうあがいても手が汚れます。というか、素人だと体中が汚れます。普通、泥にまみれた手だとデジカメは恐ろしくって触れませんが、最近買ったPENTAXのOptio43WRとかいうデジカメは防水なので干潟だってヘッチャラだい。素敵すぎる。自由がここにあるっていう感じ。マクロ撮影も撮り放題。でもなぜかすでに生産中止のためONLINE SHOPで投げ売りされているから、売り切れる前にみんな買うべきだ。室内のホワイトバランスが微妙にいい加減だけれど。
そんな訳で穴に筆を刺しっぱなしで干潟の生き物撮影会。謎の生き物達がたくさんいてとても楽しい。
謎の巻貝。 | カニとカキ。 |
シャコの赤ちゃん。 | クラゲの一夜干し。 |
ハゼ。たくさんいる。 |
捕れた!逃げた!捕れた!逃げた!と一人アナジャコと格闘していたら、シャコ捕りにくるかもしれないといっていた友人より「迷子になりました」とメールが到着。おお、なんだ、本当にくるんだ。できれば干潟で泥遊びをしているときにメールとか電話は勘弁してほしい。携帯は防水じゃないのよ。G'zOneがでたら機種変更しようかなとか考えながら、「川沿いに歩けばそのうちたどり着く!」と的確なアドバイスをして電話を切る。シャコ捕りに夢中で人の迷子の世話なんかしてられない。シャコを捕まえたときの指先の感覚がたまらなく楽しいのだよ。
迷子メールから30分後、どうにか友人2名が険悪なムードで到着。しかし、捕まえたシャコを見せると、目がキラッキラっと輝いて、何も言わずに使用済みの絵筆を穴に突き刺しだした。しかし、持ってきた筆が2人でわずか3本だったため、シャコを捕るには効率が悪い。なのでまだそんなに汚れていない方の友人に「どこにあるかは知らないけれどダイソーで筆をいっぱい買ってきて」と有無をいわさずに自転車の鍵を渡す。いってらっしゃい、気をつけて。
筆を買いにいっている間に、残された友人にぬかるんだ干潟をハンディ鍬で掘らせる。予想通り長靴が干潟に埋まって愉快愉快。転びそうで転ばないのが納得いかないが。さて、筆が足りないので、捕まえたシャコを洗濯バサミで挟んで穴に突っ込む「シャコの友釣り」というやつにチャレンジしてみた。いや、本当にそういう捕り方があるらしいんだわ。しかし、ここのシャコは好戦的ではないらしく作戦失敗。ちぇ。もっとガンガンぶつかってきやがれと勝手なことを思う。
惜しい。 | シャコの友釣り。 |
などと遊んでいる間に筆到着。20本ほどの筆を穴という穴に差し込み、シャコの反応を待つ。とても満足。やはり筆は多い方がいい。ちなみに筆は毛が多すぎて穴に入らない場合があるので、少しシャギーを入れてみた。
筆いっぱいで満足。でも実はもっと筆が欲しい。 | シャギー筆。 |
掘っても怪しい貝しか出てこなかった。 |
さすが干潟、シャコ捕り初めての友人2人も、「シャコに挟まれてびっくりする」「爪だけが捕れて悔しがる」「となりのおっちゃんに教わる」というお約束のプロセスを経て、無事に捕獲成功。シャコ証明ゲットみたいな。しかしうれしそうにシャコを捕まえる人達だな。ちなみに私は、穴からひょっこり顔を出しているシャコを筆を使わずに、いきなり指を突っ込んで捕まえるというフェーズに突入していたりする。これはこれでとても楽しい。
大人3人で干潟の穴に筆を突き刺してシャコをブイブイいわせて遊んでいると、たまにハゼ釣りや潮干狩りにきた人になにをしているのか根掘り葉掘りシャコ堀り聞かれる。関係ないけれど、「ピラニアの水槽に入れるための石」を拾いに来た人が、わざわざ自慢の石を見せにきたりもする。人もくるが犬もくる。ああ、俺のサラミ持っていきやがった。こらー。でもかわいいな。泥がいっぱいついた手で頭なでてやれ。えいえい。向こうでは子供が犬に追いかけられていて楽しそうだなと。子供、大泣きしているけれど。いやあ、干潟はいろいろな生き物がいるなあ。
アナジャコを生で食べてはいけません。いいけど。 | 石を見せてくれたおっちゃん。 |
わんわん。 | 鍬で犬を襲う悪い人。に見える。 |
わんわん。 |
3時過ぎ、潮が満ちてしまったので名残惜しいけれど終了。こんなに楽しいんならもっと早くくればよかった。本日の収穫は、シャコが15匹くらい。たぶん一般的なシャコハンターからみれば貧果なんだろうけれど、個人的には楽しかったので大満足。シャコは電車で来ていた友人に押し付けて、千葉の干潟から大都会の新小岩まで延々また自転車を漕ぐ。さすがに泥だらけで帰るのは悲しいので、途中の某公共施設に忍び込んで足を洗わせていただきました。
本日の収穫。 |
帰宅後、 一緒に干潟で筆シャコプレイをした友人宅へ電車でいって、シャコを塩茹でと牡蠣油葱干椎茸蝦蛄炒めにしていただく。あらあら、アナジャコったら火を通すと赤くなるのね。プリティ。寿司ネタにしたら受けそう。ではいただきます。うん、椎茸美味い。あ、シャコね。じゃあ塩茹でから。あら、身が普通の蝦蛄よりフニフニして美味しい。殻は、炒めた方なら気合い入れればバリバリ食べられるという感じ。泥の中で生活しているくせに、泥臭さは全くなし。頭に詰まったシャコミソは、なんだかカニ味噌と羊の脳みそを足したような謎だらけの味。ごはんに合う。きっと唐揚げにしたらパリパリして美味しい気がする。次は唐揚げだな。
マクロ。 | 蝉みたい。 |
殻ごとバリバリ食べる。 | 塩茹でる。 |
666。ダミアン風。 | 塩茹では殻を剥いていただくのだ。 |
ついでに、干潟で拾って来てしまった怪しい真っ黒な貝を、干椎茸の戻し汁を使ってみそ汁にしてみた。干潟汁と呼んでくれたまえ。ええと、汁は貝と椎茸のダシが合わさってすこぶる美味い。が、貝の身は干潟の砂がたっぷりと詰まっているので危険危険。むかつくので家主がかわいがっている先週釣ってきたハゼの住む水槽に殻を捨ててやれ。えい。
謎の貝。 | 汁は美味い。汁は。 |
ペットのハゼだそうだ。 | 気に入ったらしい。 |
いやあ、楽しかったと。干潟で遊ぶのってやっぱいいなあと思う私は埼玉育ちだったりする。ああ、爪の間の泥がとれない。
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追記1:あの貝は、「オキシジミ」という貝らしいよ。
追記2:シャコの動画
追記3:写真を若干加工したよ。