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8/7(日)富士山登山富士登山 御来光 空と雲の間に

富士登山、そろそろ辛いっす。延々と変わらない溶岩の山道を8時間以上歩き回った末の大渋滞。目標としていた富士山頂での御来光は拝めそうもなく、山小屋のオヤジに「山頂での御来光なんてもう無理なんだから休んでいきな〜」と魔の呼び込みを掛けられる。正直、富士山に登るといってしまった自分に後悔している。腰がすげえ痛い。さてどうしましょうかねえとチームミーティングをおこなった結果、「いけるところまでいってそこで御来光を拝む」という結論に至る。まあ良く考えたら他に選択肢がない訳だが、青春には仲間達と悩み語る過程が大切なのだ。これでいいのだ。

ここで今回の日程のおさらい。一般的な山の素人向け富士登山コースは、昼に5合目を出発し、暗くなる前に8合目あたりの山小屋でカレーを食べて仮眠。山頂での御来光にあわせて再出発というのがスタンダードらしい。まあみんなが御来光にあわせて動き出すために大渋滞してしまうのだが。私たちの場合、「早起きは無理」「苦しい時間はなるべく短くしたい」「筋肉痛になる前に下山したい」「どうせ眠れない」「山小屋に泊まると金がかかる(最大の理由)」という様々な理由から、全員一致で夜出発0泊2日の鉄人コース。9合目まで来た感想でいうと、どっちの行程が正しいかといえばこの疲労度を考えると前者のような気もするが、今更そんなことを考えてもねえ。どっちにしろ、ただ辛いだけの真っ暗な上り坂を機械的に歩む距離は一緒だ。さあ、登った分だけあとで降りなくちゃいけないけれど、せっかくなのでてっぺんを目指すか。

ここまでくると、基本的にメンバー同士の会話は最小限になる。真っ暗な闇の中、みんな似たような格好で大渋滞の中で会話もなしに下を向いて登山するもんだから、ついうっかり仲間とはぐれたりしてしまいがちだ。私が。あああ、もうすぐ御来光タイムだというのにみんなとはぐれちゃったよう。みんなが私より前にいるのか後ろにいるのかすらわからない。気分ははぐれメタル。すぐ逃げ出すぜ。経験値は無駄に高いぜ。

まあ落ち着け私。富士山は思ったより携帯電話の電波が入るので、とりあえずメンバーに電話をかけてみると3人目でどうにかつながり、どうやら私が先走ってしまっている事が判明。この混雑状況で合流するのは難しいと判断し、各自頂上を目指しつつ好きなところで御来光を拝む事になった。ここまで一緒に登ってきたのでちょっと寂しいけれど、まあ一人孤独に御来光っていうのもたまにはいいかな。たまにはって多分人生で一回こっきりの富士山御来光なんだけれど。

そんな訳で一人寂しくノソノソと頂上目指して登山を続けるも、空がうっすらと明るくなりだしたので、さっさと頂上での御来光をあきらめて適当な御来光スポットを探す。九合目の終了地点にある鳥居の前がよさそうなので、そこによっこらしょと座り込んで東の空をボケーと見つめる。あ、今無意識によっこらしょとかいっちゃった。これも高山病。

私の御来光スポット。


まず、真っ暗だった空にうっすらと横一本の明るい光の筋によって、大地と空との境界線があらわれる。いや、あれは大地じゃなくて、ぜんぶ雲だ。この標高3600メートルの富士山頂付近では、太陽は大地から登ってくるのではなく、眼下に広がる雲海の中から登ってくるんだと気がついた。空側に広がる、オレンジから藍色、漆黒へと続くグラデーションが全く美しい。しかもこの景色は前方180度、なんにも遮られる事なく延々と続いていて、少しずつ、少しずつ動いている景色は、どんどんと姿を変えながら明るさを増していく。さっきまで力一杯富士山に来てしまった事を後悔していたのに、「まあ、なんだかんだいって、きてよかったかな」と思い直すだけの景色がここにある。もうこの頃には山頂を目指して動く人達はおらず、冷たい空気の中でみんな静かに座り込んで同じ方向を見つめている。

少しずつ、少しずつ明るくなる。 ここで空の下が雲であると気がつく。

左側。 左斜め前。

正面。 山右斜め前。

右側。 見入る人達。

太陽の登ってくる場所が、暗闇の中でカンカンに起こした炭のような真っ赤になる。太陽がこんな色に見えるなんて初めて知った。そして太陽の赤さも美しいが、それに照らされる雲がまた美しい。こんな時に無粋にもザクザクザクと後ろを歩く人達がいるので振り向いてみると、迷彩服を着込んだ自衛隊の方々。社員旅行だろうか。

赤い。 拡大。

なぜ自衛隊。 雲の下には下界が広がる。

雲の中からゆっくりゆっくりと登ってくる太陽の姿が見えてきた瞬間、周りが急に明るくなり、太陽光を受けた体がポカポカしてくる。これがN谷さんやF施さんを何度も富士山に登らせる御来光か。たかだか一晩山登りをしただけなのに正直想像以上の別天地だわ。ゆっくりとした雲の動きとか、澄みきった空気の感じとか、太陽の赤さとか、接写と防水が取り柄のデジカメ写真じゃ全然伝わらないけれどね。しかし、景色の美しさに気を取られていたが、右側に見える下山道の急斜面っぷりが気になるな。アレを下って帰るのか。まあ、今は何も考えずに御来光を楽しもう。

太陽が登ってきた。 御来光ばんざい。

雲の隙間。 なんじゃこの急斜面は。

丸い。 あったかい。

通りすがりの人に撮ってもらった。 めでたい。

縦位置。 F施さん撮影。Canonのほうが発色がよい。

F施さん撮影。Canonのほうがやっぱり発色がよい。 雲が美しい。

別天地。 まさに雲海。

ぼけーっと虚ろな眼で空を見続けている私の後ろを、山頂を目指して動き出したN谷さんが、「すごいよね、ここではこの景色が毎日繰り返されているんだよね。」とサラッとかっこいいことを言って去っていった。うーん。そうなんだよねえ。さすがマウントフジ。アンビリーバボーでございます。やっぱりきてよかった。

さて、私も山頂を目指しますか。なんか御来光を見ただけで体がすごい軽くなった気がする。これならやっぱり渋滞している登山道でもきっと登れるさ。


つづく


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