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8/6(土)富士山登山富士登山 日本一の山頂、そこになにがあるのだろう

私が富士登山というものが一般人にも可能だという話を初めて聞いたのは小学2年生の夏休みの登校日。担任だったカツマタ先生(女性)が、小学生の息子と二人で富士山に登って、苦労して苦労してそれはそれは見事な朝日を見たという校内演説を聞いたのが富士山と私との出会い。当時、私が住んでいた埼玉の家からは、晴れた日の早朝に富士山が見えていたが、人の足で登れるものだとは微塵も考えた事はなかった。それからもう20年以上経ったのか。カツマタ先生、僕は今年、あなたの登った富士山に挑みます。


6月某日、いや違う、潮干狩りのときだから4月か。アサリバターを食べながら、その潮干狩りメンバーの内、主催のN谷さん他何人かが毎年夏に富士山を登っているという話を聞いた。富士山ですか。ええと、日本一の。うん、わからない。目の前の方々は明らかに「登山」というものから遠い遠い、それこそ多摩川から富士山頂くらい遠いキャラの人々のような気がする。なぜ登る。しかも毎年。さらに聞いたら、N谷さんは前回「日程がみんなとうまく会わなくて、仕方なく2週続けて登った」とか。うーん、まったくもってわからない。

富士山は見るもので登るものじゃないよ」と言い放ったのは、潮干狩りに1000ccのバイクで登場し、皮パンにブーツ、バンダナロングヘアーという砂浜であまり見かけない姿のまま、海には一切近づかずに延々寝っ転がっていたM岡さんじゃないですか。曰く、「富士山は火山だから、岩ばかりで登っても面白くない」との事。そしてその意見に対してうんうん頷く富士登山参加メンバー。えー、じゃあなんで登るんですか、日本一がそんなに大事ですかとN谷さんに聞くと、「ご来光とかあるから」との事。ご来光って、ええと、要するに朝日ですよね、日の出を見るために数時間山登りってどういうことなんですと詰問すると「いや、毎年登るって決まっているから」と困ったように答える。どこの決まりですかそれは。その場にいたもう一人の登山メンバーだった、木村カエラに似ていると一部で評判だが私は木村カエラの顔を知らないS木さんに、今年も登るんですかと聞いてみたら、思い切り顔を伏せて首を横に振られてしまった。どうやら富士山で高山病になり、相当酷い目にあったらしい。「富士山」という単語がでるとサッと目を背けてしまう。

しょっぱいアサリの酒蒸しをつまみに「いいちこ」ストレートを呑んでいい加減に酔っぱらっていた私は、富士山の真相を確かめるべく、今年の富士登山参加メンバーに入れてもらう事にした。せっかくの日本一になるチャンスだ、登らず嫌いは良くない。でも初参加が私一人で参加だとなんとなく不安なので、その場にいた大学時代からの友人であるS藤さんにも参加を呼びかけるが「今の話を聞いて登る訳ないでしょ!」と怒られてしまった。うーん、N谷さん達とは芋煮とか潮干狩りとかでしか会った事がないけれどまあいいか。こんど地引き網に来てくれるし。

ところで、アサリの酒蒸しっていうのは「日本酒」で蒸すのではなく、「水と少しの日本酒」で蒸すのが正しいんだって最近知った。道理で自分で作るとなんか味が濃いなと思ったんだ。



そんな訳で、早速8月の富士登山に向けて「なるべくエレベーターではなく、階段を使う」という体力作り開始。1日の大半を布団の中かパソコンの前で過ごす私は、運動苦手なのだよ。いや、運動苦手だからこそ体鍛えろよという話もなくはないが、ねえ。

で、結局体脂肪も減らぬまま富士登山目前を迎え、とりあえずお茶の水へ行き、適当なアウトドアショップで「富士登山に最適!」と書かれたNIKEの登山靴と妙に軽い酸素缶を購入。酸素缶、軽い。N谷さん曰く「山頂はドカジャン着ていても寒い」らしいので防寒着もそろえたいところだけれど、押し入れに詰め込まれているワカサギ釣り用の服でまあいいか。しかし、ドカジャンで富士山登ったのか。うーん。

あとは登山前日に一応非常食としてカロリーメイト3箱、カロリーメイトみたいなやつ4箱、ゼリー状のカロリーが高いやつ3つ、ビスコ1箱、500mlのジュース3本購入し、衣類などと一緒にリュックに詰め込む。釣り道具は持っていかない。荷物に食べ物が多すぎる気がするけれど、まあ遭難したらアレだし、山小屋はご飯が高いっていうからまあいいか。食べれば無くなる荷物だし。よし、準備万端、あとは天気がいいことを祈って寝るだけだ。いつもよりも早めに就寝。


が、眠れないのよねえ。遠足前日なんだもの。結局本を読んだりしているうちにご来光。でも大丈夫。今日の集合は新宿駅西口の高速バス乗り場に14時50分集合(バスの出発は15時10分)なので、今から寝ても十分睡眠時間は取れるはず。と思いつつ、家の中が暑過ぎて結局余り眠れないまま昼過ぎを迎えてしまった。ああ、でもまあ、バスの中で寝ればいいか。


待ち合わせ時間の少し前に新宿駅西口のバス乗り場に一番乗りで到着。ほどなくして、あんなに富士山を嫌がっていたのに、いつの間にやらうっかり登る事になってしまったS藤さんと、同じく大学時代からの友人Y木さんが到着。この人は五月に地引き網のために有給とって山形県から来たと思ったら、今回は富士登山のためにまた有給とって山形から来たというすごい人。えらい。

バスの出発10分前。そろそろバスに乗り遅れるんじゃないかとハラハラしてきたところで、富士山初体験の関西人、T羽君23歳がTシャツに穴の空いたジーパン、底の薄いNIKEのスニーカー、ペシャンコのリュックサックという、ちょっくら高尾山にでもいくような軽装で登場。どうやら富士登山というものがうまく伝わっていなかったらしい。「S木さんにシャボン玉持っていけっていわれたんですけれど、必要でしたか?」とかいっている。まあいいか。そのあふれんばかりの若さでどうにかしてくれたまえ。

そして出発8分前、バスのチケットを予約していただいたN谷さんが、袴みたいなズボンにサンダル履き、首にはタオルを巻いて、杖代わりの六角棒を振りかざしながら新宿の街に登場。地引き網と富士登山の服装の違いが、大漁旗か六角棒の違いだけなのがすごい。この人は去年、鉄下駄で富士山に登ったという噂が流れたほどの人だからサンダルで富士山に登っても不思議は無い。恐る恐る「サ、サンダルで登るんですか?日本一の山」と聞いてみたら、「いや、今回は靴ちゃんと買ったよ。靴って蒸れるから今はサンダル履いているだけ。」とのこと。「今回は」って。確かにこの人が靴を履いているのは見た事ないな。人生の中で靴を履くのは富士登山だけってカッコイイ生き方のような気がしてきた。いや、騙されたらダメだ。誰も騙していないけれど。「靴は来る途中で思い出して取りに帰ったんだけれど、上着忘れちゃったよ。」と、うっすら困っているが本当に大丈夫なのだろうか。とりあえずチケットが来たので出発ができる。

おっと、もう一人、最後のメンバー、F施さんが出発時間ギリギリに到着。引き締まった体にスポーティーな服装、そして富士登山三回目という経験。どれをとっても頼りになるF施さんなのだが、唯一の欠点は、思いっきり風邪をひいて鼻をズルズルいわせていることだ。あああ。

さあ、もう出発の時間だ。さっさと河口湖行きのバスに向かおうとしたら、あらあらT羽君が見当たらない。どうやらここに来て初めて富士登山に飲み物とか食べ物が必要な事を聞いて、買い物に行ってしまったらしい。ああ、戻ってきた。非常食にブドウパンか。

富士山? 暑いねえ。

なんかみんなすでに疲れている。

さあ、遅れちゃいかんと小走りで大通りに停まっているバスへ向かうと、なんと目的のバスじゃなかったみたい。あれー。今回我々は、「富士山5合目」へいく直行バスが予約いっぱいだったために「河口湖」へいくバスに乗り、そこからまた乗り継ぐのだが、どうやら直行バスの乗り場に来ちゃったみたい。きゃー。正しいバス乗り場を聞いて、路地裏に怪しく停まっているバスへ登山靴 or サンダルで全員ダッシュ。どうにか無事乗車してバスの時計を見れば、出発ギリギリ一分前。あぶねー。

ダッシュ! どうにか乗車。

ギリギリでした。


ふう。見事なまでに先行きが不安だ。でもまあ、どうにかなるだろ。

とりあえず、この旅には自由がある。服装とか。


つづく


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