2009/4/19 キス・アナゴのリレー船でもマゴチ釣り@伊藤遊船
アナゴ釣りが開幕したらしい
去年から始めた乗合船での夜アナゴ釣り。あの釣りはいい。早起きしなくていい集合時間、出発場所の近さ(伊藤遊船は妙典駅が最寄り)、小突いているときにくる微妙なアタリ、合わせた時の重量感、釣ったら捌いてくれる制度、そしてなんといってもアナゴのうまさ。いい。
とても素晴らしい釣りなのだが、シーズンがとても短く、初夏限定の釣りものなのがちょっと悲しい。去年はその楽しさに目覚めたのが6月とすでに終盤戦で、結局2回しかいけなかったのだ。お金と時間と太らない体さえあれば毎週でも行きたい釣りものなのに。
ということで、今年も待ちに待っていたアナゴ釣りが開幕なのでいかなくてはなのだ。でもアナゴ釣りだけだとまだ最盛期前で釣れない可能性もあるので、手堅いキスとロマンのアナゴのリレー船という、豪華江戸前天丼材料調達コースにしてみました。
前日に用意した食糧。太りたいんだか痩せたいんだかよくわからないセレクトですね。 |
伊藤遊船にやってきた
リレー船の出船はお昼の12時なので、普通に朝起きて、普通に朝ごはんを食べて、普通に酔い止め薬を一応飲んで家を出て、11時過ぎに船宿へ到着というスケジュール。釣り人っぽくない普通の時間帯である。
受付で料金を支払い、船の座席を決めようとしたら、お腹の大きな猫がでろーんと寝ていた。
でた、伊藤遊船名物のサービス猫!
でろーん。 |
ぐでーん。 |
うにゃー。 |
もう少ししたらこいつ(アメショと和猫のハーフらしいぞ)の子供が生まれそうなので、またそのころ来なくてはと、出船前から再来店を猫と約束。
とりあえず君の肉球と握手!
定刻前に出船
今日のお客さんは開幕したてのアナゴ釣りに予約するくらい気の早い方々なので、集合時間もみんな早く、定刻よりちょっと早めに桟橋から出船(伊藤遊船は予約制)。
出船。今日はちゃんと桟橋から出ました。潮が低いと沖合まで小舟でいくんだよ。 |
まずはキスのポイントである中ノ瀬とやらまで1時間クルージング。今日は天気がよくて船上は海風がとても気持ちいいのだが、さっさと船室に籠ってさっきの猫みたいに熟睡。
船室にあった救命道具。そうかこれは首を入れてはダメなのか。 |
キス・アナゴリレー船の流れ
さてリレー釣りというと、午前船でタチウオ釣って、一度港に戻って、午後船でアジを釣るっていう大津方式のならやったことがあるが、今日のリレーはキスとアナゴ。
船長からの説明によると、まず5時半くらいまでここ中ノ瀬でシロギスを狙って、そのまま移動して、日暮れから木更津でアナゴを九時半くらいまで釣るという流れらしい。ところで中ノ瀬っていうのはどこのことなんだろうとGoogleマップで検索してみたらここだといわれた。なにかだまされている気がするが、まあいいか。
本当はここらしいよ。 |
キスもアナゴも餌はアオイソメで、これは料金に含まれている。あなたがもしこういうニョロニョロ系の餌が苦手な場合は、「太めのソバ」だと思ってつけるといいと思います。軽く噛んでくるけど痛くはないよ。
私も実はイモ虫とかこういうニョロニョロした生き物がダメなのだが、「釣りの餌」だと思うと全然平気なんだよね。
ちなみにこのエサは、なくなったらおかわりももらえるよ。 |
そういえば伊藤遊船って女性は釣り船代が半額なんですよね。それを知って、生まれて何度目かの「女に生まれてくればよかった!」という思いが頭をよぎったよ。
ちなみに前回思ったのは、テレビのバラエティー番組でほしのあきだか井上和香だか忘れたけれど、胸に特徴のある方が、共演の女性陣に胸をもませていたときだ。うふん。
魚の餌はアオイソメ。私の食事はナイススティック。 |
これ一本で堂々の488キロカロリー。車でいったら余裕の3ナンバー。 |
とりあえずキスを釣ろう
うふんとかいっている場合じゃない。まずは一つ目の天ダネであるキス釣りから。しかしシロギスってボートでばっかり釣っていたので、乗合船で釣るの久しぶりだな。ボートと違って、立ってやれるから腰が楽だね。
今日は乗客10人と船の上はそこそこゆとりがあるので、真面目な釣り人は竿を三本出してがんばっている。私は一匹づつあたりを楽しみながら釣りたいので、とりあえず竿は一本でスタート。釣れなかったら二本、三本と竿を増やすけど。しっかし移動中に熟睡しすぎて、まだ頭がふわふわしている。
眠い目をこすりながら、とりあえずちょいと投げてみる。 |
今日一日の釣りをを占う一投目、ぽいと投げて船の近くまで巻いてきて、しばらく待ったら竿先がちょっと重くなった。
シロギスのあたりってどんなだっけなと思いながら巻いてみると、釣り場ではキスと同じくらいに見慣れたお星さまが上がってきた。
いただきました、星、ひとつです!(チューボーですよ風に)
ウルトラマンにこういうの出てこなかったっけ。かっちりと口にフッキングするんじゃない。 |
わかりやすい先行き不安さである。
でもまあさすがにキス狙いなので、しばらくやっていたらちゃんと釣れました。今日は入れ食いっていうほどではないけれど、まじめにやっていればぽつぽつと夕飯分くらいは余裕で釣れる感じ。久々のキス釣りだけど、型もいいし釣って楽しい魚だね。
ナイス腹筋。 |
メゴチが釣れたらマゴチの時間
しばらくはまじめにキスを釣っていたのだが、そのうちメゴチが釣れた。
シロギス釣りの定番外道ってやつですね。 |
メゴチはシロギス釣りの外道とはいえ、てんぷらにすると最高においしい魚である。松葉型に開いてカラッとあげると最高。大型だったら刺身でもうまいんだよね。
とかいって迷わずマゴチ釣りの餌にするんだけどね。
そう、わたしはまだマゴチを釣ることにこだわっているのです。
ということで、でかい針を取り出す。 |
手漕ぎボートに乗ってメゴチが釣れたらマゴチを狙う。それはキス・アナゴリレー船でも同じこと。マゴチが釣れる可能性があって、状況的に許されるのであれば狙わずにいられない。
キス・アナゴ釣りリレーの船上で一人だけマゴチ狙いで障害物リレーになってしまった気もするが、まあ細かいことは気にしない。
人生発のマゴチがキス・アナゴ釣りでなんて、私らしくていいじゃない。
じゃーん。鋳込み天秤。 |
さっそく竿をもう一本出し、鋳込み天秤というマゴチ用の仕掛けを準備する。この竿とリールは、いままでに多数のサメやエイやエソを釣った実績のある道具たちである。マゴチはもちろん釣れていない。…そして、これからも。いや今日釣るのだ。
鋳込み天秤っぽいけどバナナ。 |
ガガガガっときた!
メゴチがぎりぎり地面を這うくらいに棚を調整し、置き竿でアタリを待つ。
一応今はシロギス釣りの時間なので、手持ちの竿でシロギスも釣っているのだが、目線は常にマゴチ竿。その竿先をじっと睨んで、「竿先まがれー!」とユリ・ゲラーみたいに念を送る。今だったらスプーンくらい曲げられそうな集中力だ。おかげでキス釣りは集中力ゼロだ。
竿先、曲がれー。 |
で、キスを3匹くらい釣ったところで、メゴチをぶら下げていた竿がガックンガックンと揺れた。
高ぶる心臓、跳ね上がるテンション。
大慌てでその竿をつかむ。
リールから糸がギギギと出ていく。
がっちりフッキングをさせようと竿先をあげたその時、ふっとすべてを失ったかのような感触が伝わってきた。
糸が切れた。
同時に緊張の糸も切れた。
あああああああぁぁぁぃぅぇぉ。
放心状態で巻き上げた糸の先は、なにもない。
どうやらリールに巻いていた1号のPEラインが劣化していたらしい。そういえばいつリールに巻いたんだか覚えていないような道糸だ。そりゃいつ切れてもおかしくないよね。だからってこのタイミングで切れることないじゃない!
でもまあ、誰が悪いかって言ったら、私が悪いわなあ。
ぷっつり。 |
なにもない空を見上げる。 |
でもまたかかった!
逃した魚は大きいっていう言葉ありますよね。
あれ、本当ですよ。いまのはきっと70センチオーバーのモンスターマゴチ。きっと今のが人生のクライマックスだったんだろうなあ。いや言いすぎた。今日のクライマックスくらいでお願いします。
しかしあれだ、メゴチならまだいる。仕掛けなら作ればある。時間もまだたっぷりある。
串団子を食べて落ち着け俺。 |
ということで、気を取り直して淡い期待を込めたメゴチを海底に沈めてしばらくしたら、なんと本日二度目のアタリがきた。
まさかの展開に気が動転して、気がついたらシャッターを押していたが、写真を撮っている場合ではないのは明白だ。
その時の写真。何を撮ろうとしたのやら。 |
今度こそはと竿を持つ。グングングンと引き込まれる竿先。これは間違いない、マゴチだ(釣ったことないけど)。
ジージーと糸がでていく。
周囲の注目が集まる。
ゆっくりとリールを巻く。
船長が期待をして操縦席から顔を出す。
プチンと糸が切れる。
またやってしまった。私がいつまでたってもマゴチを釣れない理由は、こういうところにあるのではないだろうか。 |
道糸、どうやら全面的に弱っていたらしく、またしてもあっさりとプッツリいきやがった。
…なんですかね、この虚無感。
空っぽですよ、心の中が。
大物を釣っているときの高揚感と、その糸が切れた時の絶望感の落差がすごい。
盛り上がったところでプチーン。
もしかしたら、海の底に修行僧が潜っていて、私の仕掛けを引っ張ったり切ったりして、からかっているんじゃないだろうかと、八つ当たり気味の人間不信に陥る。
釣りの傷は釣りで癒す
このあともしつこくマゴチ狙いの仕掛けを沈めてはみたが、さすがに三回目のアタリはなかった。
しかしキス釣りの仕掛けにカレイやタコといった賑やかな外道が来たので、心の傷はちょっと癒えた気がする。骨折したところにとりあえず湿布を貼ったくらいの癒え方だけどね。
マコガレイって初めて釣ったかも。 |
テナガダコかな。 |
そんな感じで前半戦終了。キス釣りだけでいろいろと無駄なドラマがあったのでけっこうお腹いっぱい気味だが、後半戦はこれからである。リレー船って長丁場だね。
木更津へ移動
アナゴ釣りは木更津沖ということでしばらくまた移動。船内で落語家の休日っぽいベテランさんと、若手漫才師みたいな二人とちょっと話しをしたら、ベテランさんはキスをなんと58匹も釣ったらしい。ちゃんと数えているのもすごい。
若手二人は10匹前後だというので、正直に「わたしもそのくらいでした」といったら、ベテランの人に「あー、でもキス釣り初めてだったら十分だよ!」と慰められた。
そうか、私は今日がキス釣りはじめてだったのか。よし、そういうことにしておこう。
釣りを何年やっても初心者オーラが抜けないのってなんでですかね。まあいつまでもヘタだからなんですがね。
寄席の楽屋っぽい空気。先輩に慰められるすべりぎみの若手芸人。 |
などと見知らぬ釣り人と友好を温めている間に木更津到着。まだアナゴには早いのでキスの仕掛けでカレイなどを狙っていてもいいよという船長の声だが、せっかくなので最初からアナゴ狙いでいかせていただく。
めざせ10本。 |
今日は船にゆとりがあったので、竿は手持ちの小突き一本、置き竿二本を出すことにした。
小突き用のノーマル仕掛け。 |
置き竿用のバカっぽい仕掛け。 |
アナゴってどうやって釣るんでしたっけ
アナゴ釣りを開始してしばらくするが、これが一向に釣れない。釣れないというか、餌もとられない。
おかしい。去年はエサがすぐとられて大変だった気がするのだが、今日はそれがゼロ。つけた餌がそのまま上がってくる状態。あれアナゴってどうやって釣るんだっけ。
置き竿もダメ、手持ちで小突いてもダメ。まったく釣れる気がしない。たまーにどこかで釣れた気配がするが、全体的にはものすごいローテンション。
キスだけの天丼になりそうだ。 |
しかしまだまだ宵の口。日が沈んでからが勝負だよねと、サービスでいただいたカップラーメンを3口で一気にすする。昼間は暖かかったけれど日が暮れるとやっぱりまだまだ寒いので、こういうサービスがとてもうれしい。
船長が「カップラーメンだめな方いますか〜」と聞いていたが、そんな人がいるのなら、おれが二つ食べますよと思った。思っただけだけど。 |
カップラーメンを食べてちょっと元気になったし、そろそろいい時間だろうと頑張るが、私の竿にかかるのはヒトデくらい。
この★を7つ集めると、願い事は、「もうヒトデは釣れませんように」となる。 |
どうにか置き竿で釣れた
この日は本当に渋くて、太陽が完全に沈んでもまだアタリなし。なんだか小突けば小突くほどにアナゴが遠くへ逃げていくような錯覚に陥る。それでも継続することに意義があるということで頑張り続けたら、ようやく、ようやく一匹釣れましたよ。置き竿の方に。しかもマゴチ(らしき魚)を二回ばらした、アナゴには不向きな胴調子の竿に。
この写真だとなんだかわからないと思うけれど、釣れたんですよ。 |
うれしい。坊主を覚悟したところで釣れたこの一匹はうれしい。さっきは糸が切れたことで天国から地獄への落差だったが、今度は釣れない状態から釣れたことでの落差だ。こんな落差なら何度でも歓迎。入れ食い状態の釣りも楽しいけれど、しょせん遊びの釣りのなので、こういう「一匹」がうれしい釣りっていうのもいいね。
というのはうそだけど。
なんにせよ嬉しいのです。 |
結局このあと同じ置き竿でもう一匹釣れて、合計二匹。ちなみに竿頭は八匹。個人的になんの釣りでも竿頭の三分の一が目標なので、まあこんなものか。
かなりしょぼい釣果ではありましたが、心電図をつけて記録したら面白かったろうなっていうくらいに、キスとアナゴのリレー船を満喫した一日でした。
よかった、アナゴ船にしなくて。
釣ったアナゴは船長が捌いてくれます。できればキスもついでに捌いてほしい。 |
ちなみに帰港途中にキスを58匹釣った落語家っぽいベテランさんに聞いたところ、これだけアナゴが渋い日はめったになく、去年の平均が30匹くらいだったのに3匹だったそうです。釣れないときは小突きよりも、キスのように投げて広く探った方がいいそうな。
そういえば去年も別の人からそういう話を聞いた気がする。やっぱり釣りって同じ場所で何回か続けてやらないと腕は上がっていかないですね。ウナギならポンポン釣れたのはきっと通っていたからだな。
若手芸人達はこのサイトを見て今日来たそうです。奇特ですね。つーか日焼けで顔赤過ぎ。 |
今シーズンはあと何回かアナゴ釣りをがんばってみようかな。今日より釣れないっていうことはないだろうしね。あとリールの糸を新しくして、今度こそマゴチを釣ってやるのだ。
とかいって次の釣りが秋のカワハギとかになったりしてね。
船宿に戻ってくるといただける味噌汁。三番瀬の浅利がうまいんだよねーって思って食べたら、 |
セイゴの味噌汁だった。 |
闇夜の黒猫。 |
タコがうまかった。生だこをごま油とかコチュジャンとかで和えたよくわからない料理。 |
これが食べたかったんだキスアナゴ天丼。アナゴって久しぶりに食べたけれど、やっぱりびっくりするくらいうまいわ。 |
伊藤遊船 × 私的標本伊藤遊船では、おかみさん・船長さんのご厚意キャンペーン実施中! まあ船宿さんとの会話の糸口程度にでも使ってみてください。 |