9/4(日)ウナギは続くよどこまでも

 

リベンジっていう言葉が流行っているじゃないですか。格闘技だけじゃなくても。「前回負けたあいつに次こそはリベンジだ」とか「フラれたあの娘にもう一回リベンジだ」とか「食べきったら一万円の特大餃子にリベンジ!」とか。先週、私はこのいつもの場所でのウナギ釣りで、「姿見ず」だが明らかな大ウナギにヌメリだけ残してミミズを食い逃げされた訳です。で、悔しいので今日また新たなミミズを持ってこの場所に来た訳なんですが、これはリベンジじゃないんですよ。リベンジって辞書で調べると「復讐(ふくしゆう)。仕返し。」と出ている。復讐っていうことは、相手が私に対してなんらかの危害を加えたことがないと成り立たない訳です。先週、ウナギがしたことといえば、私がウナギを捕まえて食ってやろうと投げ込んだ針からミミズだけを食べて帰っただけ。ウナギにしてみれば生きていくための当然の行為じゃないですか。それに対してなぜ「リベンジ=復讐」などということができましょうか。私がこれからするウナギ釣りはリベンジなんかじゃございません。前回釣り損なったウナギに対する単なる「逆恨み」でございます。ぐへへへ。

午後3時過ぎから突然降り出した夕立で、干していた布団やら洗濯物が全部ずぶ濡れになった日曜日の夕方、大雨の後と言えばウナギだろうということで、雨が上がるとすぐに上州屋までチャリンコでミミズを買いにいこうと自転車に空気をいれようとしたら、足踏み式の空気入れがメキッと壊れてタツノコのアニメみたいにバネがベローンと伸びやがったのにも負けず、いつもの場所でウナギにリベンジ、じゃなかった、逆恨みしに来た訳ですよ。雨が降り出したときに「あ、洗濯物が!」と思う自分と「あ、これでウナギが釣れるかも!」って思う自分がいた訳だ。

そんなびよんびよんされても。

そんな前置きは置いておいて、雨上がりで増水気味の川っぺリ、いつ来ても釣りしている人がいない場所にまだ明るいうちから陣取り、まずは一本目の仕掛けをドボーンと適当に放り込む。狙いとかつけない。狙い通りにいかないから。ちなみに今日のミミズは、初心に戻って私が小学生の頃にも使った「りんたろう」。このミミズは血が黄色いのでキジ(黄血)という。そのままだ。りんたろうだけにきっと竿先の鈴をリンリンと鳴らしてくれるだろう。

りんたろう。衛生だ。 エサつけのテーマはメデューサ。

今日は一匹くらいはキープサイズを釣りたいなあと二本目の竿の準備をいそいそとしていたら、一本目の竿がリンリン激しく僕を呼ぶ。早いな。まだこの時間帯だとウナギには早いからセイゴ(スズキの小さいの)かなんかかなあとリールを巻くとすこぶる重い。なんでこんなに重いんだ。ああ、増水していたから重いオモリをつけたんだっけ。いや、そういうレベルじゃなくて重い。ヌルンヌルンと糸を引っ張る。あれもしかしてもしかして、もしかしちゃうのかしらと竿の弾力を目一杯使ってエイやっと抜き上げたら勢い良過ぎて仕掛けが後ろのフェンスまですっ飛んでしまった。あわわわっと駆け寄ると、手首までとはいわないがかなり太い、おもわず「さん」付けで呼びたくなるようなウナギさんがのたうちまわっているじゃないですか。うわ、自己最短記録で結構な大物が釣れてしまった。こんなんでいいのだろうか。まあ、釣れる時はこんなもんかとネットにいれてから水の入ったバケツに入れるのだが、どうがんばってウナギさんに無理な姿勢を強いることになってしまう。このままではまたすぐにお亡くなりになってしまい、前と同じく川臭い蒲焼きを食べることになってしまう。いかんいかん。あ、そうだ、そういえばリュックの中に大きなゴミ袋があったはずだ。それに入れちゃえ。えい、ブクブクブクブク〜(エアポンプのスイッチを入れた)。よし、これでバッチリと一人でウナギを見つめながら悦に浸る。ああ、幸せ。

増水中。 いきなり釣れた。

ビニール袋に入れておこう。

いやあ、ずいぶん早く釣れたもんだなあと感心しながら、釣れた仕掛けにエサをつけ直してポチャン。二本目の仕掛けを準備しなおしていたら、アカヒゲやらなんやらでお世話になったKさんが突然登場。やあやあつりですかそうですかうなぎですかはぜですかあれですかそうですかと世間話をしていたら、またもさっき釣れたばかりの竿がリンリン鈴を鳴らしている。やるじゃないかりんたろう!でもさすがに連続ではこないだろう、きっと鈴は鳴るけれど巻き上げてみるとウナギはいない、これをウナギのピンポンダッシュという。とちょっとうまいことでも言わせようとしているんだろうと意味もなく疑いながらリールを巻いたら、あれれやっぱりウナギが釣れていた。でもちょっと小さいな。ペットにするにはナイスなサイズなんだけれどペットはドジョウとダボハゼで十分なのでお帰りいただく。おーきくなれよー(丸大ハンバーグ)。

ちょっと小さいか。

とりあえず二匹釣ったので、やっと周りを見渡す余裕がでてきた。さあ、白犬と斑猫に挨拶しようかな。あれ、いない。どうやら釣り小屋のおじさまと散歩中らしい。猫は、リュックサックに詰められて夜明け前に旅立ったかな。まあいいや。アスパラは元気かしら、あらあら収穫されちゃったみたい。がっかり。って私のアスパラではないのだが。

留守ですか。 ああ、私のアスパラがあ。

散歩から戻ってくると、いい意味で修行僧みたいなお兄ちゃんが釣り竿とミミズを持ってこっちにやってきて私に一言「ホームページやってませんか?」。う、なぜそれを。思わず「はい、すみません」と謝ってしまった。話を聞いたら富浦のボート釣りで検索したらこのサイトの「つりボートおきむら」の小話がでてきて、なんやかんやでここにウナギ釣りに来てみたそうだ。奇特な人もいるもんだ。で、写真に写っていた釣り道具から私の身元が割れてしまったらしい。声をかけていただけれるのはうれしいのですが、細かいポイントとかは聞かれても毎回違うところに投げているのでよくわかりませんごめんなさい。で、いろいろ話をしていくうちに、彼の住んでいる場所が、以前に私がここで釣りをしているとき、通りすがりの「うなぎ釣り歴40年」みたいなオッさんに「ここは釣れないから○○がいいぞ!」って教わった憧れの場所でちょっと面白かった。

そんな訳で、今日はあの一瞬の時間に2匹釣れただけで、結局あの後はアタリなし。釣れる気配も全くないのでウナギさんが元気なうちに撤収。ええと、どうやってこいつの泥を吐かせようかな。そうだ、平成の何でも屋ピカソにいけば適当なウナギ飼育ケースがあるに違いないと張り切っていってみたが、以外にも「三段重ね衣装ケース」とか「アルミラック」とか「メイド服」しかない。SEIYUにいっても「洗濯カゴ」しかない。しょうがないからダッシュで明かりの消えつつある商店街にいって、勇気を出して魚屋さんに「蓋のついた発泡スチロールの箱ください!」と頼んでみるも「もう片付けた。朝ならある。」との悲しい答え。大切なウナギさんを朝までゴミ袋に入れておく訳にはいかない。ションボリしながら当てもなく商店街を奥に進んでいくと、店じまい中の昭和っぽい方の何でも屋発見。よしここならきっとあるはずと店先を見れば、立派なウナギ飼育ケース(衣装ケースが私にはこう見える)があるじゃないですか。早速購入してウナギさんが待つ我が家にダッシュ!

何でも屋。なんでもあるよ! ほらあった!ウナギ飼育ケース!サイズもいろいろ!

そんな訳で、無事ウナギさんは真っ直ぐとはいかないまでも、まあどうにか腰が曲がらない程度の広さの新居に移り住むことができたとさ。立派なウナギが釣れてちょっと鼻の高いナス。

立派! 鼻が高い。

めでたしめでたし。さあ、いつ食べようかなと。


買い物してして

こういうの好きかな