2004/9/4(土)横須賀市佐島のヤマト貸ボートで青物とマゴチ釣り


マゴチを求めて早幾年。マゴチは夏の魚なので、そろそろ台風と共に秋風が吹き出してきたし、やばいなと思う訳ですよ。今までは千葉県富浦の手漕ぎボート屋へ曳舟サービスがあり「ボートを漕がないでいいから」という軟弱な理由で延々通っていたんだけれど、人間チャレンジも必要だということで、今回は大きく目的地を変更して、曳舟サービスのない神奈川県横須賀市佐島という未開の地のヤマト貸ボートというボート屋へ。ちなみにヤマトは漢字で「企」の下と左の棒を取った字を書く。「人」の下に「ト」。読めないって。で、なんで突然佐島なのかというと、そこに友人Oさんがいくというので連れていって貰っただけ。で、さらにいえばOさんがボートを漕いでくれて、同行するOさんの友人(英語で言うとFREND OF FREND)Sさんが車を出してくれるからだったりする。至れり尽くせり。

予定より到着が4時間遅れた金曜の深夜一時過ぎに、Oさんが住む聖蹟桜ヶ丘というニュータウンな街へ到着。蕎麦などをいただき、二時就寝して三時起床、四時にSさんが迎えにきて出発。

高速道路を移動中、車中でマゴチカツオマゴチカツオと能天気な会話中、ぽつりぽつりとフロントガラスを濡らす雨粒に止まる会話。能天気から一転悪天候。ふう。でもまだ小雨だ大丈夫だと佐島をめがけて車は進む。しかし途中パーキングに入る頃には、小雨から普通に雨になり、風がビュービュー吹いていた。

雨。ああ雨さ。

「カッパ持ってる?」とOさん。
「持ってきました」とSさん。
「あ、忘れ物しました。・・・日焼け止め」と私。
ああ、無駄に空気が重くなってしまった。

雨の中、ヤマト貸ボート到着。眠そうにでてきたボート屋のじいちゃんに、今日ボート釣りは可能かと聞いたら「もう少ししたら雨はやむから1時間ほど待っていて」との長年のボート屋家業を営んできた男の心強い発言を聞き、とりあえずコンビニで飯を買い、ヤマトボートの小屋で飾られている魚拓を見ながら腹ごなし。ほほう、マゴチ62cmね。今日は私の釣ったマゴチの魚拓が張られるんだな。

いわれるがままに 飯を食いながら待つこと30分、雨は一向に降り止まず、とうとうゴロゴロゴロと雷が鳴り出した 。勘弁。ボート小屋は当然貸しきり状態だ。

降り続く雨にテンションも下がる。この二人は兄弟ではない。 マゴチ、また来年かなあ。

あいかわらず眠そうな顔をしてボート屋のじいさん再登場。「いやあ、今テレビの天気予報見たら、雨やまないみたいだ」と海の男らしくない発言をかまされた。さっき、1時間ほど待てっていったのは、たぶん自分が寝起きだったからだろう。

さてどうすっか。雨がやむのを気長に待つか、雨の中カッパきてやるか、このまま帰るかの三択を迫られている訳だが。男三人目を合わし、頷き合う。よし、とりあえずカッパで。

海に向かう足取りは重い。 雨。冬じゃなくてよかった。

足取りも重く、ボート乗り場到着。富浦に慣れた私には砂浜じゃないボート乗り場が新鮮。じいちゃん曰く、アジが遙か彼方の緑色した灯台の向こうで釣れているそうだ。遠いな。自分で漕ぐ日はくるのだろうか。ちなみにエンジン付きの貸しボートもあるけれど、残念ながら自動車免許じゃ乗れません。

遠い。歩いていくのでもイヤな距離だな。

ジャリメとサビキのコマセを購入して、いつもの二人乗りボートの1.5倍はある巨大な手漕ぎボートに、先頭Sさん、真ん中Oさん、後方私の男三人が乗って出発。気が付けば雨は我慢できる程度になっているし、波も風もほとんどなし。台風が遙か南海に漂っているらしいが、どうにか釣りになりそうだ。

カッパの上から救命胴着。 なんとなくサンダーバードみたいな出船。

三人乗りのとっても重い手漕ぎボートを、昔UWFというプロレス団体に入門しようか本気で考えていたというOさんが力強く漕いでいく。三人乗りとは思えない速度で目標地点の緑色した灯台を軽く突破して無事サビキ釣り開始。水深は結構深くて25メートルくらいある。もう雨はほとんど降っていない。今日はボートに乗れただけでもよし。一匹釣れたら満足だ。

空が明るくなってきたなと。

で、釣り初めて10秒後、早速Oさんから「釣れた!」との声。早!。見ればサビキの針に10センチほどの大口開けたカタクチイワシが3匹ほどぶら下がっている。おお、イワシだ、サーディンだと騒いでいたらSさんと私の竿にもアタリがきて、ぽんぽんとイワシが鈴なりに釣れる。ちなみにSさんは面倒くさがってコマセなしでサビキ釣りをしているがかまわず釣れている。少し浅いところでは20センチの程のウルメイワシがバンバン釣れる。ああ、体中にイワシの鱗がへばりつく。いやあ、本当に休む間がない。いや、仕掛けを下ろさなければ休めるんだけれど、それはもったいなくてできないのだな。ところでボートの上でウルメイワシを手開きにして海水で洗って食べてみたら苦かった。

カタクチイワシが大口あけてあがってくる。 針の数だけ魚が釣れる。

ウルメイワシ。鱗がとれると見慣れた青い魚体になった。なるほど。 たまにアジも釣れます。たまに。

イワシもいいけどソウダガツオとかワカシなんかも釣りたいなあと、当初の坊主じゃなければいいやという殊勝な考えが雨雲と共にどこかに消えたころ、Oさんになにやら強烈なアタリ。グイングインと強力にリールを巻くとスレンダーなサバがあがってきた。ごま塩模様なのでごまサバだね。せっかくなので首を折ってエラと内臓をカモメに投げてバケツで血抜き。

サバ。スレンダー。 血抜きされる。

どうやらボートの下にサバの群れが来たらしく、三人の竿に続けざまにサバがかかる。サバを釣ったのは人生初だったりするんだけれど、なるほどこれがサバの横走りっていうやつかと納得できる、なかなか景気のいい走りっぷりで大変楽しい。しかもサバが一匹だけあがるんじゃなくて、いっぺんにサバが一匹にウルメイワシが二匹とか、サバが二匹に残りの針全部カタクチイワシとか、青魚が一山いくら、DHA食べ放題な感じで釣れてくる。たとえサバでもこれだけ釣れれば遭難時とかに威張れるね。サバイバルでサバイバル・・・。で、サバも相変わらず黄色に黒の短いシロギス竿で釣っているのだけれど、アカエイ釣ったときよりもヒキがはっきりしている分楽しいなと。アカエイといえば、この写真、おもいっきりアカエイの毒針のある尻尾を握りしめているのだが大丈夫なのだろうか。

ちょっとやっただけでこんなに釣れる。 カモメが魚をくれと寄ってくるのでサバのエラと内臓をあげる。

1時間ほど釣ったところでこれ以上は食べきれないということでサビキ釣り終了。で、ふと気が付けば、目印にしていた灯台が遙か遠くにあるじゃないですか。錨は確か降ろしているはず。おかしい。風はないのでそんなに流される訳はないのだが。またボートに結ぶのを忘れられていたか、あるいはまた錨が海中で取れたか。で、よくよく調べてみたら、水深が深すぎて、アンカーが海底に届いていなかったらしい。どうやら気合いをいれて沖に来すぎたみたいだ。なかなか新しいパターンの遭難だなと。

流されたものは仕方がない、待っていても迎えはこないということで、Oさんに頑張って頂き引き返す。よかった自分が漕いでいなくて。Oさん本当にありがとう。

灯台付近まで戻り、シロギス釣り&マゴチ釣り開始。ちなみにマゴチ釣りのエサはさっき釣った新鮮なカタクチイワシ。欠点はどれも死んでいることか。でもまあいいやとマゴチに仕掛けにぶら下げてボチャン。きっと生きた魚に追いつけないおじいちゃんマゴチが釣れるに違いない。

はやくシロギスかメゴチを釣ってエサにしたいなあとジャリメをつけた仕掛けを巻いていたら、ボートのすぐ近くでガクンと重くなった。この重さはホウボウだなと勝手に決めつけてリールを巻けば、30センチほどの茶色い魚体があがってきた。あ、やべえ、人生の目標、マゴチを釣っちゃったっぽい。いや、そんなはずはない、私が初めて釣るマゴチは60センチオーバーで、イワシとかキスを餌にしてなければならない。ジャリメで釣った30センチのマゴチが人生初である訳がない。と、妄想がちな中学生男子が思い描くファーストキスと現実のギャップみたいに、いまここにあるマゴチという名の現実から拒否をするも、釣れたんだからまあいいさとよく見てみれば、恋いこがれているマゴチよりも明らかに目がデカイ悪人顔。おお、これはワニゴチというヤツだった気がする。よくわからないのでそういうことにしておこう。

釣れた。べろーん。ニシキヘビみたいな模様。 おお、ザラザラしている。

マゴチとワニゴチ、佐島と出島みたいなもんだなとバケツの中のワニゴチをなでていたら、死んだカタクチイワシをぶら下げていた竿にアタリが。今度こそマゴチだろうとリールを巻くが大物の気配なし。上げてみたらまたワニゴチ。銀のエンゼルは五枚集めると金のエンゼルと同じ効果がある。しかし、ワニゴチは5匹釣ってもマゴチと交換してもらえない。その後、何回か場所を変えてマゴチを狙うも、キスの仕掛けにメゴチがきたがマゴチは釣れず。でもまあ、コチと名の付く魚がメゴチ、ワニゴチと釣れたんだから、次こそはマゴチだろう。次っていつだ。

防波堤の内側。ここはシロギスがいっぱい釣れた。 エサにする前に死なれる。

鼻水ではなくて、メゴチを触った手。ぬるんぬるん。 カワハギ。ちょっと小さいな。

陸に上がるとき、ここに荷物があってびしょ濡れになった。

そんな訳で、初めての佐島のボート釣りは、ウルメイワシやゴマサバ、ワニゴチなど、富浦と同じ仕掛けで違う魚がいろいろ釣れてなかなか楽しかったなと。できればこの佐島にも曳舟制度ができることを切に願います。

ボート屋。普通の民家。 これでヤマト貸ボートと読ませる。


余談: Oさんの家に戻ったら、九月だというのに結構日焼けをしていてビックリした。やっぱり日焼け止めは必要だったらしい。

焼けた焼けた。

そして食卓へ。

買い物してして

こういうの好きかな