3/4(土)金沢八景 忠彦丸でショウサイフグの食わせ釣り

昨年地引き網で知り合いになったKさんより、「土曜日、ふぐ行きませんか?」というメールがきた。

きっとこの短いメールの中には「小粋な料理屋でフグ刺し、フグちりをタラフグおごりますよ!もちろん天然のトラフグでね!」というメッセージが込められれているに違いないと思うのは大間違い。なぜなら私が叶姉妹の三女じゃないから。セレブじゃないから。このメールは「先週、金沢八景の忠彦丸っていう船宿でショウサイフグの半日船っていうのに友人達と乗ったんだけれど、なかなか楽しかったから今週末もまたみんなでいくんだ。よかったら車に乗せていくから一緒にどうだい?カワハギの道具でできるし、なにより美味しいよ!」と読み取らないといけない。

釣りっていうのは、餌の付いた針で魚の口を引っかけるお遊び。これは北浦あたりでじいさんが2センチのタナゴを釣るのも、松方弘樹がハワイ沖で2メートルのカジキマグロを釣るのも、基本的にこの構造は一緒。釣りは釣り。イカとかタコだとちょっと違うけれど、魚を釣るのは口に針。しかし、ショウサイフグという魚を釣る方法は、餌の下に錨バリをくっつけたものを船の上から海中に落とし、餌を食べにきたフグをえいやあと引っかける「カットウ釣り」のが一般的らしい。ううん、フグは釣りたいけれど、なんとなく釣り方が好みじゃないなあと葛藤してみる。とかいってヒラメを口じゃない場所で釣った私がいうのもなんだが。

と、悩んだフリをしているのだけれど、今回誘われた忠彦丸では、カットウ釣りではなくて、ショウサイフグではめずらしい餌釣りなので即決。もちろんいく。めざせフグの肝和え。きっと天国に一番近い味わいだろうよ。

はい前置きが相変わらず長くなりましたが、ここから釣り当日のお話です。朝というよりも夜中の午前5時(おきまりの書き出し)、私の住むお家の前まで来てくれるというので、釣り道具を用意して表で待つ。

そういえば、この電信柱によく犬がおしっこしていたような。

程なくして、Kさんが一方通行をバックで逆走というアバンギャルドなドライビングでご登場。どうやら曲がる路地を一本間違えたらしい。ちなみにKさんの車はワゴン車だけれど、釣り道具が常に満載のためいつでもツーシーターだ。なので亀本さんはお留守番だ。

ブルルルル。 バックオーライ。ええ!

荷物と私を詰め込んだ車は、金沢八景目指して首都高をビューン。私は今まで首都高をなるべく避けて生きてきたんだけれど、使ってみると神奈川まですぐなんだね。東京というよりどちらかというと千葉扱いされている新小岩から一時間ちょっとで到着しちゃった。自分で運転していたらジャンクションで間違えて3時間半とかかかるだろうけれど。ところで金沢八景ってどっかで聞いたことあるなあと思っていたら、去年潮干狩りしたところだった。

早いぞ首都高。 金沢漁港。石川県ではない。

漁港内に入り、おっちゃんおばちゃん達に先導されて駐車場に車を止める。予想以上の好天にニコニコしながらトランクの荷物を取り出していると、我々が向かう忠彦丸の軽トラックがやってきた。そして釣り人達からバッグやクーラーボックスを回収して去っていく。先着3名様まで荷台に乗れるらしいが、我々は定員オーバーのため荷物だけ預けて徒歩でのんびりと船宿へ向かう。荷台いいなー。

対岸に見えるのは八景島シーパラダイス。 トラックが荷物を乗せていくよ。ドナドナドーナー。

駐車場からテクテク歩いて港をずんずん進んでいった一番先に忠彦丸発見。忠彦丸、たぶん初代が忠彦さんっていう名前なんだろうけれど、実は彦摩呂だったりして。ただ彦摩呂。「おばちゃん、ここのフグうまいよー!絶品やで!うちの船は釣りのIT革命や!」とかいいながら船を操縦するひこちゃん。そうするとヨネスケ丸とかも必要だな。うん、いい感じだ。なにがだ。

ひこちゃん! わかめちゃん!

この防波堤の一番先が忠彦丸。 そしてワカメ。

はい到着。 あの船に乗るらしい。

船宿に着き、さあお金を払おうかなという段階になって愕然とした。

財布忘れた。

あああああ。

また来週!





いやいやいや、最近は電車釣行ばっかりだったので、財布を忘れたら駅の改札で気が付くんだけれど、今日はKさんの車、しかもETC付だったので財布を出すタイミングが一切なかったんだよね。ど、ど、どうしましょう。ちゅ、ちゅ、駐車場でみんなの帰りを待っていればいいのかな。仕方ないから防波堤で捕まえたフナムシを餌に釣りでもするべきか。いや、でも、大人だし。ええいと勇気を出してKさんに真実を赤裸々に訴え、お金を借りる。き、き、きっと返します。ちなみに半日船はインターネット割引価格で5000円。立ち食いそば屋の食券販売機みたいな機械でチケットを買う。仕掛けは一個200円の三本針胴付仕掛け。針以外はカワハギと似たような感じ。で、これを二つつなげて使うのがトレンドらしい。なので予備を含めて4つほど購入。代金はもちろん借りた。おもりはナス型20号でこれは持参。なんか最近ナス型錘がいっぱい貯まってきた。あまりうれしくないが、別に悲しくもない。問題ナス。

カツ丼セットを買っているわけではない。 乗船券。

仕掛け。

諸々準備万端となったところで釣り船に乗船。今日はフグの船だけで3艘もでているのに、私たちの船は片側だけで9人も乗っているという大盛況っぷり。どうやら世の中的にフグ釣りがブームらしい。知らなかったよ。そういえば、あのアキラさんも先々週にフグ釣ってピリピリしたっていっていたような。ショウサイフグの詳細はこちら!とかいっていたっけ。ふう。この混雑ぶりだと当然のようにオマツリ騒ぎになりそうだけれど、私がいる片側の9人は同じグループだったりする。私が直接会ったことのある人はKさん入れても4人だけなんだけれど、一応私もご一行の一員らしい。よし、これで心おきなくオマツリができる。いや、しなくていいんだけれど。しかし、ちょっと狭いかなあ。やっぱするんだろうなあ。ちなみにこのご一行、ほとんどの人が先週もショウサイフグ釣りに来ているらしい。

そんな心配は、とりあえず保留だ。悩んだら手を動かす単純作業を延々やるといい。ナントカ療法っていうのでなかったっけ。まあそういう訳でもないんだけれど、出発前に単純作業をする必要があるのは事実なんだよね。この釣りの餌は、なんと贅沢にも甘エビなんだけれど、これの殻を剥いて食べられる状態、じゃなっかった針に付けられる状態にしておかなきゃならないんだってさ。ここは「美味しそうな甘エビだなあ。醤油持ってくればよかったよ」というオヤジギャグの一つでもかましておこうかと思っていたら、周りでみんながそんなことをいっていた。さすが釣り船、オヤジギャグの本場だぜ。桟橋に転がっている醤油はなにかのネタフリなのだろうか。

餌は甘エビ。 出船前に剥いておこう。

甘エビを食えといわんばかりの醤油。 普通の食用らしい。

この甘エビを付ける針は、「丸海津13号」って書いてあったけれど、明らかに違う。まっつぐである。そして獲物のサイズの割にでかい気もするけれど、きっとなにか深い理由があるのだろう。船宿さんを信じる。針以外はカワハギ釣りと同じ道具なんだけれどねえ。

なんかでかいぞ。

甘エビを無事剥き終わって程なく出船。船内でギュウギュウ

ご利益はばっちりだ。 船にワイパーがあった。

さあ、釣り場到着だ。今日の道具はお正月のカワハギ釣りで使用して一匹しか釣れなかった大変縁起の悪いカワハギ竿に、大津のボートでアジと戦うために勝ったんだけれどイシモチとばかり戦っているリール。ちょっとこのリールだとショウサイフグ釣りにはでかいかな。仕掛けは船宿仕掛けを2連にして、都合6個の針となった胴付仕掛け。これに20号の錘をつけて海底までヒュルルルと沈め、錘が海底につくか、つかないかくらいでキープする。って仲乗りのお兄ちゃんがいっている。なんでもフグは止まっている餌を食べるので、カワハギ釣りみたいな誘いはしては駄目らしい。で、細かいコツコツしたアタリではあわせず、大きめのアタリがあったところで一瞬待ってから、竿をゆっくりと持ち上げてあわせるらしい。なんだか道具立てはカワハギなのに、釣り方は全然違うのね。まあよくわからないけれどとりあえずやっていればどうにかなるさあとお気楽に構えていたら、早速周囲で釣れだしている。そわそわ、そわそわ、そわそわとしていたら、私の竿にもクンクンっとアタリが伝わってきた。軽くあわせてニヤニヤとしながら巻き上げてみれば、実物を見たことがないのでイマイチ確信はないのだけれどきっと本命のショウサイフグ!。ううん、ショウサイフグって思っていたより小さいんだね。でもこの調子ならフグ刺し、唐揚げ、鍋、雑炊とフルコースが楽しめそうだな。

今度こそがんばれ、カワハギ竿。 釣れた。うれしい。

確か先週の釣果は10匹前後が多かったと聞いているので、とりあえず私も10匹を目指そうかな。天気もいいし、波もないし、これは余裕でしょうとお気楽に構えていたのだけれど、なーんか二匹目が一向に釣れないんだよね。アタリはコツコツとある。でもあわせても釣れないんだな。餌はとられている。でも釣れないんだな。私の左側で同じ船宿仕掛けで快調に釣りまくっているBさんによると「ちょっと弛ませたり張ったりするとアタリがあるよ!」といわれたのでその通りにやってみるけれど、どうもどのタイミングであわせていいのかがチンプンカンプン。「あわせるのはぐぐっと来てからでいいよ!」といわれるけれど、その前の小さなアタリでついあわせちゃう。待ったら待ったでハリスを切られちゃう。うう、一向に釣れない。こういう、腕の差がもろに出る釣りは非常に悲しい。私の釣れないオーラはKさんにも伝染したらしく、二人して全然釣れない。Bさんは順調に釣れるのにい。同じ仕掛け、同じ場所で釣れている人がいると言い訳のしようもないな。くそう、釣れたと思ったらハゼだし。マゴチ釣りの餌にはぴったりのサイズなんだけれどねえ。

こっからが増えない。 左のBさんは順調。なぜ?

よし、そんなときは今週のビックリドッキリメカ、やはりフグといえばカワハギの親戚ということで、昨日スーパーでアサリを買おうと思ったけれどなくて、カットウフグの定番餌である青柳なんてもっとなくて、仕方なく買ってみた中国産ハマグリでGO!

ハゼはいいから。 これが昨日買ったハマグリ!

ハマグリ、効果なし。

そんな釣れない状態のまま、仲乗りさんがフグを捌き始める時間になってしまった。やばいやばいやばい。フグっていう魚は一般的にあまり知られていないけれど、実は、毒があるんだよね。あ、知ってましたかそうですか。なので素人が捌くのは厳禁。ふぐ調理師や処理師とかいう資格を持った人が捌かにゃならん。私は食品衛生責任者の資格しかないので捌けません。でも大丈夫、大抵の船宿は船長やら仲乗りさんがその資格をなぜか持っているので、毒のある部分はぜんぶとった状態で持ち帰らせてくれるのできっと安全。でもショウサイフグっていうのは、可食部分にも微毒があるらしいんだよね。なんだよ「弱毒(100グラム以下で致死量ではない)」って。それは食べても平気なのか。でもまあ、今日の私の釣果なら食べ過ぎて死ぬことはないかあ。わかった、この乏しい釣果は、釣りの神様が私にもうちょっと生きなさいねというメッセージなのか。うん、そんか神様いらない。フグよこせ。

捌き方をじっと見て覚える。いや、深い意味はないよ。単なる興味だけだよ。ああ、そうやるのか。ふんふん。 Bさんが釣ったアカメフグとかいうやつ。でかい。

ちなみにショウサイフグの肝は猛毒、白子は無毒なんだけれど、仲乗りさん曰く「血抜きをちゃんとしないとあぶないから」という安全第一な理由で白子もゴミ箱いき。うううう。うう。まあしょうがないやね。でも、ううう。と泣いていたらだんだんと潮の流れが速くなり、当然のようにオマツリ騒ぎ勃発。すみませーんと隣の隣の人にほどいてもらったら、フグが一匹釣れていた。ああ、これが例のオマツリ釣法ってやつですかって他人事みたいにつぶやいたりして。この「オマツリしたら釣れていた」という芸風は他人に迷惑をかけまくるので、さっさと破棄したいなあ。で、釣れたのはいいけれど、一緒にオマツリしていたKさんの竿先が折れちゃった。あわあわ。す、すみません。この「一緒に釣りに行った人の竿が折れる」っていう芸風も是非破棄したい。そのうち竿だけじゃなくて骨とか心とかが折れそうで怖いよう。

オマツリしちゃった。 そして二匹目ゲット。

そんなに膨れられても。 ああ、折れちゃった。

途中から、あんまりにも釣れないので仕掛けをカワハギ用に変えてどうにか一匹追加。仲乗りさん曰く「カワハギ用の仕掛けだと、アタリが多いけれど、はずれるのも多い」らしい。アタリの取り方がわからない私にはカワハギ用の方があっていたかも。とかいってカワハギのアタリの取り方もろくに知らないんだけれどね。どっちにしても駄目ってことか。そんな感じで、どーやったら釣れるのかよくわからないままに終了。結果3匹の貧果でございましたっと。今日は全体的に低調だったみたいだけれど、隣のBさんは11匹だって。なんだこの差は。腕の差だ。

天気はよかった。 三匹ねえ。昨日、友達に「フグ食べにおいで!」っていっちゃたよ。中止中止。ごめんごめん。

あ〜あ。三匹かあ。しかし、こう文字にしているうちに、なんとなくなにが悪かったのかがわかってきたような気がする。カワハギの道具なのでカワハギ釣りっぽい気がするが、実はメバル釣りとかのほうが近いんじゃないかなあとか思ったり。餌は6個も付いているんだから、餌がとられるのを気にしないで、ちょっと待った方がよかったな。あと、道糸ももうちょっと細いやつにしなくては。

亀本さんが食べているのは、鶏肉。ごめん、フグはまた今度ね。


そんな感じで負け戦に終わったショウサイフグの食わせ釣り。どうやら今年はカワハギとかフグとかの類に縁がないらしい。とかいってシロギス釣りにいったらクサフグの猛攻にあったりして。でもね、次にフグを釣りにいったら、きっともうちょっとまともな釣りになる気がするんだよねえ。ってたぶんいかないんだけれどさあ。うーん、口惜しや。


私と釣りに行く奇特な方へのお願い:竿が折れてもオマツリしても財布忘れても怒らないでねっと。

買い物してして

こういうの好きかな