1/8(日)京急大津小川丸でマダイ釣りという名の修行

Nさんの家におもちをつきにいく途中、某修行僧(仮名)から携帯にメールがきた。

マダイ竿使いに行かない?

先週のカワハギ釣りという名の苦行にいった際に、修行僧からマダイ釣り用だという3メートルの竿と、一見電動リールだけれど実は手巻きの大型リールをもらったんだよな。春になったら桜鯛を釣りたいねとほのぼのメールを返したら、

3連休だし明日は?

とスパルタメールが帰ってきた。今年の初釣りでお互い大変しょっぱい釣果だったので、釣り直したい気持ちもわかるんだが、私、今から餅つき。Do you know Mochitsuki? ほら、体力とか腰痛とか食べ過ぎとか、ねえ。喉にも詰まるし。でも、まあ、いいか。春までに死んでたらアレだし、短い人生だ。いけるときにいっておこう。竿とリールもらっちゃったし、新しいクーラーボックスをこの前買ったし。とはいっても仕掛けとかの準備をする時間は一切ないので、その辺は全面的に委任する。

そんな訳で、餅つきでクタクタになって帰宅してから6時間後、真っ暗な夜道を釣り竿担いで駅に向かう私がいた。いや、別にそんなに釣りが好きな訳じゃないんだけれどね。

クーラーボックスが新しくなりました。横長なので電車の改札で引っかかりました。 若干眠い。

今日の行き先は、前に唐突なタチウオ釣りをした京急大津の小川丸。前回楽しかったからね。そんな訳で、いつものように始発の総武線快速で最寄り駅を出発し、横浜駅で京急に乗り換え。向かいの席に座る修行僧らしき人が読んでいる本はきっとエロ小説であろう。ちなみに彼は、ジーンズの裾を長靴の外に出した状態を「オシャレ仕様」、中に入れた状態を「釣り仕様」と呼んでおり、「ほら、オシャレ仕様だとぱっと見釣りだとわからないでしょ!」と釣り竿とクーラーボックスを持ちながら坊主頭でいっていた。皆さん、温かい目で見守ってあげてください。

そんな訳で釣り人ばっかりが乗った電車から堀ノ内で乗り換えて京急大津へ。マダイ船の出船は7時なので時間がないのでダッシュダッシュ。餅つきで腰が痛くても船は待ってくれないのさ。いたたたた。

社内で真剣に読む修行僧。きっとエロ小説だと思うの。ズボンはオシャレ仕様だ。 釣り人しか乗ってねえ。クーラーボックスは何故何故青い。

無事時間内に到着。 男の人しかいません。

アジを釣りにきた中学生。生意気にも電動リールを借りていた。手巻きでやりなさい。

今日のマダイ船のお客さんは、我々を入れても10人くらいなので広々としていてうれしいなと。出船後、広々した船内で修行僧から釣り方を聞く。私はマダイ釣りなんて人生初なのだが、彼はもう5回いっており、その内4回は本命を釣り上げていると自信満々あじまんほかほか。そんな彼が語るマダイ釣りのコツは「オモリが底についたらハリス分くらい巻いて、ひたすら待つ」というシンプルなもの。が、がんばります。目指せ一匹。

天気はいい。 朝焼けが好き。

港を出て三十分程でマダイ釣りのポイントらしき場所に到着。さすがに出発地点が横須賀だとポイントまでの移動時間が短いね。いいことだ。ここで修行僧より本日の仕掛けを渡されてビックリ。なんとハリスが6メートルもありやがる。なんだよ6メートルって。竿の倍も長いじゃん。えー、周りの人とオマツリしちゃうじゃん。っていうか、投入前にすでに一人でオマツリしちゃったんだけれど。竿より長いハリスっていうのが、私の中で理解できないのだが。コマセから6メートルも離れちゃうのよ。3メートルくらいじゃだめかしらねえ。まあ、とりあえず先人に習ってやってみるかね。テンビンとかカゴとかは船にあるのを借りて、そこに6メートルのハリスをくっつけて投入。先に寄せエサと夢と希望を詰めたカゴを落としてから、最後に針を落とすと絡まないらしいぞ。ちなみに本日の水深85メートル、私たち以外は全員電動リールでございます。またか

もらった竿とリール。昭和の香りがするよ。 コマセ。オキアミとアミエビ配合。

付けエサ用のオキアミ。 6メートル。ながいなー。

仕掛けを投入後、竿とリールが重いので竿受けに置いて、ジーっと念を送る。ジー。 たまに仕掛けを回収して、エサを換えたりコマセを詰めたり。本当はこまめにコマセを詰めたほうがいいんだろうけれど、ほら、そこは手巻きリールだからそこそこで。周りの人にコマセはまかせよう。

でね、釣れないの。アタリがないの。誰にも。寂しいの。寒いの。悲しいの。眠いの。虚しいの。坊主の気配が濃厚なの。でも、釣りっていうのは釣り竿を持っている以上、なにかが釣れる可能性があるので我慢できるんだよね。次の瞬間、竿がグッと水面に刺さるかもしれない訳なのよ。隣のおっちゃんに「釣れませんねえ」と話しかけてみたら「いつもこんなもんだ。そしてアタリがないまま一日が終わる。」と悟りきった事をいわれてしまった。でも来るのね。

釣り始めてから一時間、ようやく今日最初のアタリがきたさ。ああ、修行僧にさ。「やっぱり俺は先に釣るキャラだよな」とかいいながらニヤニヤとリールを巻く修行僧。ただ見ているのも暇なので、網を持って構える私。そして上がってきた魚は、赤くない。青い。うん。サバだ。しかもゴマサバ。ちょっとがっかり。「インターネット割引価格8500円のゴマサバかあ」と悲しくつぶやく修行僧。でも釣れるだけいいなあ。私はクルージング代だけで8500円になりそうだよ。でも、天気もいいし、富士山も見えるし、まあいいかな。いやよくない。自分を騙すところだった。サバでも何でもいいからとりあえず一匹!。せっかくの新しいクーラーボックスを空で持って帰るのはちょっと嫌。

釣れたあ。 ゴマサバ。

富士山。見えますかね。 私に網を使う日は来るのだろうか。

クーラーボックスを空のまま帰るのは嫌なので、付けエサのオキアミを持って帰ってかき揚げにしたら食べられるだろうかと虚しい空想をしだした頃、やっとこ私の竿にも弱々しいアタリがきた。わーいわーいとリールを巻くと、なにやら修行僧を挟んでさらに左側にいる人とオマツリしてやがった。あーちくしょう。魚だと思ったのにーっと思ったら、ほどかれたハリスの先にはゴマサバがぶら下がっていた。おお、魚だ。どうやら私の針に引っかかったサバが暴れて隣の隣の人とオマツリしたらしい。ハリスが6メートルとかあるので射程範囲が広いね。よかった。空いている船で。そんな訳でやせっぽっちのゴマサバをゲット。たとえ脂の乗っていないゴマサバだとはいえ、せっかくの獲物なのでその場で血抜きし、エラと内臓も取り出してしまう。とりあえずこれで晩ご飯のオカズはできた。

スレンダーなゴマサバ。 血抜きの犯行現場。

ゴマサバが釣れてわーいわーいと喜んでいたら、すぐに修行僧の竿が大きくしなった!。すわ、マダイかと緊張した空気がほんのりと流れたが、上がってきた魚はやっぱり青い。やっぱりサバ。あ、でもサバはサバでもマサバだ。丸々太って美味しそう。生意気な。どうやらこの船の下にはサバがウヨウヨいるらしく、なんだかサバがポンポン釣れるようになってきた。サバが入れ食いである。しかしどういう訳か私の竿にかかるサバは100%ゴマサバでマサバが一匹も釣れやしない。でもいいんだ、きっと釣りたてなら美味しいんだと全部丁寧に血抜きしてクーラーボックスにしまう。ゴマサバの「ゴ」が余計だなあ。私はマサバが釣りたいよう。いや、タイを釣りにきたんだっけ。

サバの内臓を海に捨てていたら大漁のカモメが寄ってきてちょっと楽しいよ。空中でナイスキャッチしてくれる。そして釣れたサバを全部大事に持って帰ろうとしている私たちを見て左右で釣っていたおっさん達が、「もってけ〜」とサバを投げてくるようになった。全部ゴマサバだけれど、せっかくなので全部もらう。そして内臓はカモメに投げる。そしてカモメを修行僧が襲う。いや、襲わない。うん、食物連鎖。

でかいサバを釣る修行の人。サバを釣ってえばる。サバエバル。 上:私が釣ったスレンダーなゴマサバ
下:修行僧が釣ったグラマラスなマサバ。

私が釣った丸々と太って一瞬マサバっぽいけれど実はゴマサバのようなサバ。 周りでもサバばかりが釣れる。

アゴの下をぶちんと引きちぎって血抜き。エラと内臓も出しちゃう。よい子はバケツの中でやろう。辺りが血まみれになるよ。 内臓はカモメにあげる。ウミネコかな。まあいいや。

作り物のようなサバ顔。 正面からどうぞ。

えーい、釣っても釣ってもサバばかり。渡る世間はサバばかり。さっきまでサバが釣れて、とてもうれしかったんだけれど、こうサバばかり釣れるとねえ。いいかげん赤い魚がみたいなあとちょっと飽きてきた頃、右側に座っていたサバが釣れる度にこっちに投げてくるおっちゃんの竿がグググっと大きく曲がっている。おお、マダイの大物がとうとうきたかと色めきだつ船内。が、魚が水面に上がってきた途端、みんながガッカリした顔で自分の釣り座に戻っていった。どうやら針にかかったのはサメだったらしい。サメ!干すと美味しいサメ!欲しい欲しい欲しい!。が、さすがに初対面の人に「そのサメください!」とはいいづらい。どうしようかと迷っていたら、その人はサメをタモで掬うのも面倒という感じでハリスをプチンと切ってしまった。あああああ、僕の干しザメがあああ。って私はタイを釣りにきたのだが。

あ、あの赤い人、タチウオのときもいた! 大物!でもサメ!なぜ逃がす!

その後も、サバサバサバ。飽きない程度に釣れる魚は全部ゴマサバ。そのうちクーラーボックスが満杯になってきたので、サバの頭を落として詰め直す。わーい、夢のクーラーボックス満杯だー。全部ゴマサバだー。どうすんだー。そしてそのままタイムアップ。本日の収穫はもらったのを含めてゴマサバ20匹也。うーん、1匹500円。途中、一回どうせサバだろうと力任せにリールを巻いていたら、2号のハリスがブチッと切れたが、あれはマダイだったのかね。どうも大津はハリスを切られがちだな。ちなみにマダイは船中ゼロ。もうちょっとがんばれジュンペイ君。って力任せに巻いてハリスを切った私が悪いのだが。

サバサバサバサバサバサバサバサバサバサバサバサバサバサバサバサバサバサバサバサバ。 わーい。クーラーボックスがいっぱいだー。

敗走。 まあ、また春にでもいくべかね。

そんな訳で、新春沖釣り第二弾は、ゴマサバづくしでございました。あ〜、じんましんでそう。でも、青い魚は好きなのさ。帰ってサバ20匹食べきってやる。って私はアザラシか。とりあえず、小川丸のウドンは美味しいなと。ちょっと涙でしょっぱいが。ちっくしょう、あのサメもらえばよかった〜。いや、後悔するところが違うか。

温かいうどんはうれしいなと。


今年はサバサバした年になりそうだ。

買い物してして

こういうの好きかな